25%ルールとはなんでしょうか。聞いたことがある人もありますが、もの凄いざっくり三行で説明すると、

4チームのリーグ戦で、3チームが2勝1敗、1チームが0勝3敗の場合に、

上位3チームの順位を決める際に

全敗のチームとの対戦結果を無視するルール

です。


実際の例を取りながら、見ていきましょう。
例にするのは、つい先日行われた 2016年の兵庫県選抜予選。

図125%ルール適用例1

図1の通り、2勝1敗で並んだ3チームですが、得失点差で考えると川西緑台が優勝になります。
が、実際は、25%ルールが適用され、以下の図2のようになりました。

図225%ルール適用例1

全敗した育英との対戦成績を考慮せずに上位3チームだけの得失点差で計算すると、なんと1位と2位の順位が逆転。
直接対決で勝っているにも関わらず、川西緑台が2位に、神戸国際が1位になってしまいました。

これが、25%ルールです。
でも、なんで25%ルールって言うの?
ということで、ルールの詳細を見てみましょう。

厳密なルールについては、ものすごく記載が少ないです。ハンドボールのルールブックにも記載がありません。大会の運営ルールなのでしょうがないですが、しかし我らが スポーツイベントハンドボール誌のWebサイト に記載がありましたので一部引用します。

国際ハンドボール連盟が80年から世界選手権規程に導入した同じ勝ち点の場合の順位決定法。 得られるべき最高の勝ち点数の25パーセントを基準として、2つのグループに分け順位を決定する。 93年の各大会まで採用されたが、撤廃。実力差のあるチームから大量得点をあげ得失点差で上位となる傾向を改めようとしたもの...

世界的に撤廃されてるやん!

しかも、93年って。20年以上前やん・・・。
なんで、まだこのルールが日本で残っているのか最大の謎ですが、ここではそこに触れずルールの詳細を読み解いていきます。

肝になるのは、

「最高の勝ち点数の25パーセントを基準として、2つのグループに分けて順位を決定する」

という部分です。

4チーム制のリーグ戦の場合、最高の勝ち点数は、3勝0敗の場合の6点(勝利:2点、引き分け:1点)。
その25%は、1.5点なので、1点以下の勝ち点のチームの対戦成績は考慮しないということになり、冒頭の兵庫県の例になります。
なので、ルール的には以下のようなケースでも、25%ルールが適用されることになります。

図325%ルール適用例2
A高校とD学館が2勝1分けで勝ち点で並んでいます。
B学園は、全敗で勝ち点0なので、25%以下になります。また、C学院は、1勝2敗で勝ち点が2となり、25%である勝ち点1.5点より多いので、こちらは対象内となります。
このケースで25%ルールを適用すると、

図425%ルール適用例2


B学園との対戦成績だけを対象外とするので、やはりルール適用前と適用後で1位と2位の結果が逆転してしまうということになります。
このケースだと、A高校とD学館の直接対決では引き分けなので、順位を決める要素は、C学院に対して何点差で勝ったかということで決まることになります。

やっぱ、すげーわかりにくい

なぜこんなわかりにくいルールができたのでしょうか。これは、スポーツインベントハンドボールのWebサイトに記載がある通り、

「実力差のあるチームから大量得点をあげ得失点差で上位となる傾向を改めようとしたもの」


つまり、1チームだけ弱いチームがいる場合、ある程度点差がついて勝ちが確定したら、控えメンバーと交代したりするケースは普通にあると思います。
そんなある意味 「本気でやってない」 試合の得失点で順位を決められたら、不平等じゃないか。ということでしょう。
確かに1チームだけ実力差があるケースでは、そういうこともあるかと思います。
ただし、県大会の決勝リーグとかでは、それなりの実力で勝ち上がってきたチームですし、対象外にするほど実力差があるのでしょうか。
逆に、25%ルールがあることによって、結果が予想できなくなり、試合運びや攻め方が決めれなくなるという弊害の方が大きい場合もあります。

では、実際に起こったそんなケースをご紹介しましょう。

2014年度の 大阪府選抜予選大会の決勝リーグ のケース。
この大会の上位2校には、近畿大会出場権がかかっており、2日目終了時点では、図5のような状態でした。

図5 決勝リーグ2日目終了時点
この時点では、桃山学院が2勝しており、2位以上は、ほぼ安全圏という状態。しかし、2敗の偕星学園にも、2位の可能性があり、最終戦の結果次第でどう転ぶか全くわからない状態です。

で、3日目の結果がこちら。

図6 決勝リーグ3日目終了時点
結果的に、首位の桃山学院も破れ、3校が2勝1敗で並ぶという状態になり、25%ルールが適用。

図7 25%ルール適用後
なんと、2試合目終了時点で、首位だった桃山学院がよもやの3位で、近畿大会に出場できないという結果に。
2日目終了時点で、25%ルールが適用されるかどうかを、予想できた人は少なかったのではないでしょうか。
そして、桃山学院は、最終戦が終わった際に、3点差で2位になれなかったと気付けたのでしょうか。
そういうことで、やっぱり

このルールめっちゃ、わかりにくいよね

さて、今までは4チーム制のリーグ戦で25%ルールを適用したケースを見てきましたが4チーム制以外の場合で適用されたらどうなるのか見てみましょう。
5チーム制の場合は以下のようになります。

図8 25%ルール適用前

5チーム制の場合は、最高の勝ち点数は、4勝0敗の勝ち点8点。その25%は、2点なので、2点以下のチームは対象外となります。
図9 25%ルール適用後

全敗のE高専との結果が対象外とされるので、1位と3位のチームの順位が逆転する結果となっています。これまたややこしいですね。

では、最後に3チーム制のリーグ戦のケースを考えてみましょう。
3チーム制の場合は、最高の勝ち点数は、2勝0敗の勝ち点4点。その25%は、1点なので、1点以下のチームは対象外となります。
ただし、3チーム制の場合で25%ルールが適用されるケースは次のケースしかありません。

図10 25%ルール適用前

1勝1分で2チームが並ぶ状態です。
これに25%ルールを適用すると次のような結果になってしまいます。
図11 25%ルール適用後

あれ、これって意味なくない?


そうです。3チーム制の場合は、25%ルールを適用しても、得失点差で順位をつけることはできませんので、意味がありません。
このケースでは、なにでもって順位を決めるのか、謎です。

というわけで、25%ルールについて調べてみました。このわかりにくいルール、高校ハンドボールでいつまで適用されるのか謎ですが、やはりわかりにくいので、撤廃して欲しいですね。